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『風の谷のナウシカ』
裏考察

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『風の谷のナウシカ』裏考察



どうでしょう、私のドルク解説、わかりやすかったでしょうか?


これからは宮崎作品や高畠作品の裏側を語る、さらに深く作品を楽しむ考察になります!

この考察を読めばジブリに限らず世界の映像作品に隠された真意を読めるようになるので必見です!!

と、解説の前に一つ前提の知識としておさらいしておきたいのですが、原子共産主義という思想をご理解いただけているでしょうか?

ググってウィキっていただければ早いのですが、この思想を超簡単にまとめると、現代の超絶分業社会って人類に適してなくね?人間の感性って狩猟採集時代ないし牧畜農耕時代に最適化されて進化してるんだからその時代の生活に戻ったら幸せなんじゃね?いや、幸せに違いない!という思想ですね。

  日本でいえば飛鳥時代当たりの古代の生活こそ人類に最適な社会構造で遺伝子構造的に一番人間が幸せに生きれるような社会がそれであって、現代の分業社会、大資本主義社会、ストレス社会は人が一匹の生物として幸せに生きるには真っ当なものとは言えないゆがんだ社会構造とする思想です。

そして、宮崎駿と高畑勲が学生の時代は世界でこのような思想革命が盛んで、二人もこれに憧れる流行りに敏感な思想家である点を一つ予備知識として覚えておいてください。

そして、共産主義のような人類みな平等に百姓な世界は難しいから、せめて全人類平等くらいは目指していこうという思想を社会主義といいます。これもぐぐってウィキっていただければ早いのですが、超簡単に解説すると原子共産主義は理想ではあるけど、それだと社会が大混乱しちゃうからある程度の社会構造を残したうえで報酬の再分配をして人類の幸福度あげたろ!っていう思想です。

文学作品や映像作品を見る際はこの“思想”という観点を意識してみると新たな発見があったりするのでぜひ頭の片隅にでもほったらかしておいてください。
それでは始めましょう!
宮崎駿&高畑勲のディープ解説!!

意図的な対立構造

宮崎作品や高畠作品には明確な対立構造があるのはお分かりいただけているでしょうか?

千と千尋の神隠しが非常にわかりやすいので、これを例にしますと、共産主義勢力はユバーバゼニーバですね。

サシガメ飼育法


ユバーバのセリフ、「しごとをしたいやつにはしごとをやる」というのはまさに社会主義思想の「皆が平等な労働者」という考えを現したセリフで分かりやすくていいですね!

しかし湯屋はカオナシにめちゃくちゃにされます。これはユバーバの心の隙に資本主義が入ってきた表現だと黒山は読みました。作中ではカオナシはユバーバの結界のせいで橋の真ん中から湯屋には入れていないものが、いつの間にか中庭にいます。わざわざ千尋に「わたしがいれたかも!」とリンに話しをさせることで視聴者をミスリードしていますが、中庭までは自力で入っていることは見逃せないポイントです。ハクのいない千尋にはユバーバの結界を破るような力はありません。

なのになぜカオナシは中庭に入れたのか?これはユバーバの心の隙が関係していて、ユバーバは湯屋の職員をみな平等に扱い仕事を与える社会主義政策を徹底する一方で自分は皆の給料をピンハネして宝石を隠している描写がわざわざ尺をとって描かれております。これは共産主義を目指し最初は志を高く持ったていたのに、時代の変遷でだんだん金銭欲を抑えられなくなった支配者を描写しています。そこに漬け込むのが資本主義の権化カオナシという存在です。

カオナシの生み出す金が泥に代変わるシーンがありますが、これはまさにアメリカが体験した世界恐慌のような構図を絵にそのまま表しているようなもので、信用創造や先物取引などで実在しない貨幣価値を生み出す資本主義を皮肉った表現といえるでしょう。共産主義の中に資本主義という癌が入り込んだが最後、世界はこんなにばかげたものになってしまうんですよという宮崎駿のメッセージとも言えます。


湯屋が大混乱に陥り、そこから千尋はゼニーバに会いますが、このゼニーバこそが宮崎駿や高畑功の目指した原子共産主義そのものを体現した生活をしています。糸を自分で作るさまはまさに糸車をひくガンジー。

インドでは東インドシナ会社が人々に分業をおしつけ、その結果インド人は皆が一人の自由な人間から労働者へと変えられた歴史がありますが、それを表現するかのように千尋のために皆で髪留めを作ります。

資本主義社会では100円で買えるようななんの変哲もない髪留めですが、私も、今このブログを読んでいるあなたも含め、現代社会に生きるほとんどの人間はこの髪留め一つですら土と太陽という素材から作り出すことはできません。現在の資本主義の世界では我々は貨幣といった交換価値を持ち歩かなければ何もできませんが、原子共産主義の人々はみな土と太陽のみで様々な素材を作り自在に操る魔法使いともいえる存在かもしれません。髪留めを毛束からより集めて作れることを皆に教え、分業社会がどれほどばかげたものなのかを視聴者にうったえかけようとしております。共産主義の教科書ともいえるなかなかにえぐい演出です。

とまあ、千と千尋だけでもこれだけバチバチの思想対立が映像として表現されているわけですね。

ではなぜこんなことをしたのか?これには時代背景という大きな理由がありまして、宮崎駿の思春期は米ソ冷戦時代。世界は社会主義と資本主義どちらが正しいのかまだわかっていない実証実験期・・・社会主義の世の中では資本主義的な思想が弾圧され、逆もまたしかり。共産主義を賛美する映像作品なんて作ったら政府に取り締まられてしまう世の中で高畑勲、宮崎駿は架空の世界で理想を追い求めました・・・それがナウシカであり、千と千尋の神隠しであり、もののけ姫であり、平成狸合戦ぽんぽこであり、火垂るの墓であり、ぽにょであり、ハウルの動く城であり、ラピュタであります。

フロイトは「抑圧された感情は別の形で現れる」的なことを言いましたが、まさに宮崎高畑作品も、時代が作りだした最高傑作といえるかもしれません。世界が原子共産主義の世界であれば資本主義を賛美する芸術的作品が多く生まれたのかもと思うと、それはそれで見てみたくてしょうがないですね!!

すべての作品の思想的対立構造を語りつくしたいのですが、さすがに私にも物理的時間に限りがありますので、ナウシカだけこの思想対立という観点からの解説を試みます。

ナウシカに隠された思想対立は、シュワの墓地サイドが進歩主義で、ナウシカが原子共産主義、トルメキアが帝国主義といったところでしょうか。進歩主義とはまさに現代の社会ですね!新しい技術がもてはやされ優遇され、新しく進歩するものこそ正義といった資本主義に通ずる概念が見え隠れします。

そんな進歩主義の描く理想社会は本当に理想的です。

現代でも進歩主義者たちの情報は魅力的なものが多いですよね。電気自動車、夢の核融合炉、人類には無限のエネルギー使用が約束されています。

そして作中の墓地の主の計画はまさに理想。全人類がつくりかえられ争いなく、心穏やかで豊かな資源を分け合う社会をつくろうとしていたわけですから、神聖皇帝の考えに賛同しドルクが栄えた理由に否定のよちはありません。

がしかし、ナウシカ的な立場ですと疑問がのこるわけです。「は?おまえは?」と。全世界がお前(墓地の主)の理想になったところで、進歩主義はさらなる高みを目指し進歩をやめないだろ?常に人を操り奴隷とする存在であるお前がいなくならない限り人類は永久に自由な人間ではないじゃないか!と進歩主義には欲望追及に限りがないという真実を突きつけ墓地の主を怒らせます。

墓地の主は墓地の主で、人類の英知を集めて作られたのにもかかわらずナウシカにレスバに負けるという体たらく。いやそこは全人類の英知をフル活用して論破し返せよと期待しましたが・・・結局未来人にあっさり論破される程度の過去の人間が作った人工知能なわけですね。図星を付かれレスバをやめ誹謗中傷に走るネラーのごとく墓の主はもう思考停止で意識の破壊攻撃をしかけてきます。とても人間的な人工知能で、おちゃめでいいですね。

そして面白いのはトルメキアの王。ヴ王はまさかのナウシカ思想に賛同。争いも人間の幸福の一部だ。争わない心穏やかな人間など人間とは言えないと言い放ち、墓地の主のスポンサー願いを自ら蹴り主はさらにブチギレ。致命傷を負ったヴ王はいまわの時を美しい娘に看取られながら、血で血を洗う権力闘争に明け暮れた血みどろの人生を振り返り退屈のない面白い一生だったと満足して生涯を閉じるという衝撃のラスト。こんな多面性にあふれた作品がほかにあるでしょうか!?

宮崎駿にはぜひ監督業など降りてもらって漫画制作を進めてほしいですね。そうすればアニメのような短い時間作るのに莫大な費用の掛かる作品では伝えきれなかったことも伝えきることができるとおもうのですが・・・

ほかの作品の対立構造を簡単にまとめるとこんな感じですね!

サシガメ飼育法


私のまとめきれなかった対立構造はぜひあなた自身で見つけてまとめてみてください!きっと楽しいものになるでしょう。

個人的に面白いと思うのはラピュタ!

原子共産主義を信奉する主人公が多い宮崎作品の中では珍しくパズーは完全なる進歩主義者。ラピュタの存在を願い恋焦がれる主人公なんですよね。

サシガメ飼育法


そんな少年がラピュタの英知よりも隣にいる年齢の近い女の子を選ぶところがなかなかエッチで好きですね!!

パズーとムスカが手を組めば、かつてラピュタ人が独占した技術を世界に分配し、それはそれは素晴らしい世界が訪れたでしょうね・・・

書いてる人のプロフィール
名前:黒山有(PN)
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